デンゼル・ワシントンが初監督、2002年公開の実話を元にした映画「ANTWONE FISHER(邦題: アントワン・フィッシャー きみの帰る場所)」。
悲壮な過去をもつNAVYの黒人青年、デレク・ルーク演じるAntwoneが、デンゼル演じる精神科医Davenportと共に自分のトラウマを消していく。自分の過去を振り返り、辿っていく。そして、その過去と向き合っていく・・・
この実話はAntwone Fisher本人が書いた「Finding Fish: A Memoir」でも読めます。
監督:Denzel Washington
脚本:Antwone Fisher
出演:Derek Luke, Denzel Washington, Joy Bryant…
平均的な日本家庭で育ったあたしにとっては、えらくドラマティックで、こんなにむごたらしいことってあるんか?って思わせるくらいのAntwoneの幼少時代だけども、奴隷制度の名残りがこんな形で残ってたり(白人主人にされていたことを黒人がしていく)するんだろうな~なんて感じながらみてた。暴力や性的虐待。完全に自己喪失しちゃいますな、あんな状況。
人間、話を聞いてくれる人がいるってことは幸せなことなのよね。それがたとえ「相槌」だけだったとしても、それでも「話せる相手」がいるというだけで、心にゆとりがもてたりするもんだ。きっとAntwoneのような惨い幼年期を送らず、普通の家庭に育った人でもそうやと思う。そして、「人と話すこと」って大切だってことを知ってることは救いだと思う。だって、「こんなこと言ってもしょうがない」とか、「どうせ私なんてわかってもらえない」なんて思ってちゃ、その人自身が前向きな人間になれないはず。
そして誰の台詞から感じたのか忘れちゃったけど、自分にとって別の生き方なんて存在しないんだよね。「もしこんな環境に産まれてこなかったら~」なんて、思っちゃいけないんだよ。「この状況を脱するには~」って考えなきゃね。前者のように思ってたら、そこから先へはすすめないし、その感情は「妬み」に変わる。「妬み」からはプラスなことは何も生まれへんはず。
AntwoneがDavenportのような精神科医に出会えたのも、考えてみればラッキーなことで、彼に出会えなかったらAntwoneはずっと自分を引きずって生きていくはめになったかもしれへん。出会いとタイミングってほとんど「運」で、いつくるかわかれへん。それを受け入れることができるかできないか、受け手にもよるやろし、提供してあげれるかどうかという立場の人にもよるし。宗教とはまた違った、「自分を信じれる」というのは簡単そうで難しくって、Antwoneはそれができたんでしょうな。Davenportを信じるも信じないも決めるのは自分で、それを決めた自分を信じて行動していけるかどうかやもんな。
両親を知らずに育った人、虐待を受けたことのある人もこの映画をみることがあるかもしれない。Antwoneを羨むか、「彼は運がよかった」と吐き捨てるか、それとも「自分に自信をもって生きていこう」と思うか。。。様々なんやろな。う~ん、難しいなぁ。私は結構、出会いと人には恵まれてるもんなぁ、ありがたいことに。自分がどん底でも、人に救われてることってあるもんね。消えていく人は消えていくけども。
すがすがしいendingで、「自分」を振り返る機会をつくってくれる映画です。
この映画、デンゼル初監督もだけれど、デレク・ルークの初主演映画でもあるのよね。彼の出演映画、もっと観てるのに結構ここに書いてへんかったんやぁ。
この映画↓とNotoriousくらいかな?
「Miracle at St. Anna(邦題:セントアンナの奇跡)」とか、「Friday Night Lights(邦題:プライド 栄光への絆)」「Catch a Fire(邦題:輝く夜明けに向かって)」とか。
あ、コレ↓があった!
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