Cyndi Lauper / Hat Full of Stars (1993)

Cyndi Lauper / Hat Full of Stars (1993)

Cyndi Lauperの4枚目のアルバム。カラフルなイメージのCyndiが、モノクロのジャケット。まだ「サイレント映画」時代の1900~1930年代に活躍した女優で、その後は映画製作や実業家となったMary Pickfordにインスパイアされたものだという。

派手さやポップさ、「この1曲!」と思えるインパクトには欠けるけれど、Cyndiの声に馴染む曲ばかりでアルバム全体でバランスがとれているんじゃないかな。社会問題を取り入れたソングライティングもあり、Cyndiがやりたい曲を伸び伸びとやってる感じが伝わってくる。「Cyndi Lauper / TRUE COLORS (1986)」よりも、このアルバムを聴く回数の方が断然多い、時代に関係なく聴けるアルバムです。

Cyndi Lauper / Hat Full of Stars (1993)

01. That’s What I Think
02. Product of Misery
03. Who Let in the Rain
04. Lies
05. Broken Glass
06. Sally’s Pigeons
07. Feels Like Christmas
08. Dear John
09. Like I Used To
10. Someone Like Me
11. A Part Hate
12. Hat Full of Stars

オープニングの「That’s What I Think」は、このアルバムの中で一番楽しい曲かな。曲調に合わせてCyndiの声の表情がコロコロ変わるのが想像できる。

「Product of Misery」と「Broken Glass」はDVを描いたもの。Cyndiの両親は彼女が5歳の頃に離婚したようだけれど、母親や祖母がDVを受けていたのだろうか。特に「Broken Glass」はCyndi自身が見たシーンが歌われてる感じがするよね。サウンドもピタリとハマってる。

10代で思わぬ妊娠をしてしまい、不法中絶を試みるも自らの命を落としてしまったという、Cyndiの幼い頃からの友人との思い出を歌った「Sally’s Pigeons」。Cyndiの優しい声と郷愁を誘うメロディが、歌詞と相まって心に響く。

間奏のギターリフがファンキーな「Lies」、クリスマス曲ではないけれど「クリスマスが来たみたいな気分」が伝わる「Feels Like Christmas」。

「A Part Hate」は、南アフリカ共和国のアパルトヘイト(Apartheid/人種隔離政策)への思いを、アフリカン民族楽曲的な雰囲気とコーラスを入れて力強くもCyndiらしい明るさで仕上げている。

A Part Hate

Written By David Thornton, Cyndi Lauper and Tom Gray
日本語意訳:NAOKO

Why are the people
Running down the block
Rock throwing
Not knowing what else to do
But I’m just a spectator
And I can never know the pain
But when I hear
That whip cracking
I cry out tears of anger
I cry out tears of shame

なぜ人々は
通りを駆け下りて石を投げているの
他に何ができるんだろう
私はただ見ているだけで
その苦しみを知ることはない
でも鞭が打たれる音が聞こえると
わたしは怒りで泣き叫ぶ
わたしは慚愧(ざんぎ)で泣き叫ぶ

A part hate
I heard myself say
Tear apart hate
And I saw hope in my face
A part hate
Where the color of love slips away…

ア・パート・ヘイト
私の心が言ってるのが聞こえた
「憎しみをぶっ壊そう!」って
希望をもつわよ
ア・パート・ヘイト
それは愛の色を消していくもの・・・

ラストの「Hat Full of Stars」は、アルバムを締めくくるタイトル曲。
子どもの頃、お気に入りの帽子を星がキレイに瞬く夜空にかざした時の思いと、今の自分を合わせて歌っているよう。やっと、子どもの頃を懐かしむことができる自分がいるというか、そんな気持ちで制作したアルバムでもあるのかな~と考えてみたりする曲。

全体がノスタルジックな雰囲気で、このアルバムを聴くと発売当時の1993年を思い出す。
初めて飛行機に乗ってアメリカ留学に出発した時に連れて行ったアルバムだから、特にかもしれないけれど。プルマンの広い空が懐かしいよ。




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