ベトナム戦争がもたらした黒人社会への影をヒューズ兄弟監督が描く、ラレンズ・テイトやクリス・タッカー出演の映画「DEAD PRESIDENTS(邦題: ダーク・ストリート/仮面の下の憎しみ)」

DEAD PRESIDENTS(1995)邦題:ダーク・ストリート~仮面の下の憎しみ~ MOVIE | 映画
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MENACE 2 SOCIETY(邦題:ポケットいっぱいの涙 1993年公開)」の監督でもある、双子の兄弟アレン(Allen)とアルバート(Albert)のヒューズ兄弟(Hughes Brothors)の監督作品 、1995年公開の「DEAD PRESIDENTS(邦題: ダーク・ストリート/仮面の下の憎しみ)」。

ベトナム戦争で国のために戦ったがその後のアメリカ社会の現実に翻弄させられる主人公Anthony Curtisを演じるのは、これまた「MENACE 2 SOCIETY」 のO-Dog役、ラレンズ・テイト(Larenz Tate)。幼馴染で戦場でも主人公と共に戦うSkip役に、クリス・タッカー(Chris Tucker)。

DEAD PRESIDENTS ダーク・ストリート/仮面の下の憎しみ(1995)

監督: Hughes Brothors (Allen + Albert Hughes)
出演: Larenz Tate, Chris Tucker, Keith David, N’Bushe Wright, Freddy Rodriguez, Terrence Howard, Sticky Fingaz

Dead Presidents – 英語で「bill(お札・お金)」の意味でもある。この映画はその「Dead Presidents」が燃やされるところから始まるのだけれど、まさにその映像がこの物語の全体を語っている。

実は、この映画はWallace Terryが書いた「Bloods: Black Veterans of the Vietnam War: An Oral History (English Edition)」の中に出てくるHaywood T. Kirklandという人の経験が元になって、主人公のAnthonyが描かれているそう。

時代背景は1968年~1973年くらいの期間か。
まさにアメリカが、そして黒人歴史や文化にとっても激動した時代でもある。国のために頑張って命を張って戦ったのに、戦争が終わって帰国すると仕事にありつけない。戦場での経験がトラウマとなり、どうしようもなくドラッグに溺れる。ちょうどベトナム戦争の期間に人権への関心も高まり、「ブラック・パワー」が提唱されてきた時期でもある。ベトナム戦争がもたらした影響は、戦後の黒人達の生活に精神的にも経済的にも大きくのしかかり、戦場で戦った称えられるべき人々は苦しめられる結果となった。

黒人映画の中でも、これほどやりきれない映画はないんじゃないかというほど救いのない最後。少しでもアメリカ史や黒人史を知っている人にとっては内容も濃く、興味深い映画ではないでしょうか。単に黒人映画と捉えるのは勿体ないくらい。併せて「PANTHER(邦題: パンサー 1995年公開)」も観て欲しい。

そして、この映画の中で見られる当時のファッションにも注目です。Camp LoのSunny Cheebaのような、60年~70年代の流行。

NAOKO
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Camp Loのアルバム「UPTOWN SATURDAY NIGHT」↓クラッシック!

革のピタッとしたジャケットに、キャスケット。「ベルボトム」より「パンタロン」と呼びたくなるパンツスタイル。バギージーンズもいいけど、スマートにこんなスタイルできたら格好いいよなぁ。ヘア・スタイルも、アフロやブレイズもいいけども、ひっつめでクールに髪を纏めてみたり。

サウンドトラック「Dead Presidents: Music From The Motion Picture」も必聴です。
この映画が公開されて少しした後にUS版のVHSを買ったのだけれど、映画の冒頭にIssac Haysの「Walk On By」のPVが入っている。ところどころにこの映画の場面が映し出されて、すごくドラマティック。

(追記:2023年1月)

NAOKO
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