2021年公開(日本では劇場未公開)のサイコ・クライム・スリラー映画「The Little Things」。背景は1990年、まだ携帯もスマホもなく、まだアナログ主流な時代。ロサンゼルス郡保安局 (Los Angeles County Sheriff’s Department; LASD)が追うサイコ的連続殺人事件を背景に、2人の刑事が容疑者の捜査をするんだけれど…
映画「ボヘミアン・ラプソディ(2018年)」でフレディ・マーキュリー役を熱演したラミ・マレックも出てるよ!
デンゼルさん主演やったら、ボクサー役やった「ハリケーン(1999年)」なんかも観てほしいな。
監督・脚本:John Lee Hancock
出演:Denzel Washington (Joe Deacon)、Rami Malek (Jimmy Baxter)、Jared Leto (Albert Sparma) etc.
脚本はJohn Lee Hancockが既に1993年にできていたらしく、スビルバーグ氏に監督を打診するも断られ、それから何度も製作にトライするが制作たどり着けない…を繰り返し、ようやくJohn Lee Hancock自身が監督をして2021年の公開まで至ったという作品。
ネタバレしない程度に…
デンゼル・ワシントン演じる元LASDで当時のサイコ的連続殺人の捜査の失敗から今は片田舎の保安官であるJoe。当時の連続殺人と同一犯と思われる事件が起こり、その担当責任者であるLASDのエリート刑事Jim(レミ・マレック)と一緒に捜査をすることになる。
Joeの聞き込みからある一人の修理工、Albertが容疑者として浮上する。追えば追う程、AlbertはJoeとJimmyの捜査を上手くかわしていく。ある日、捜査中にAlbertにハメられてしまい、捜査は失敗か…という状況に陥る。しかしJimmyはAlbertから「自分が犯人だ」と言われ、被害者の遺体を埋めたという場所へJimmyを案内する。
結末には、多くの人がモヤっとしたり、面白味を感じないかもしれない。「Seven」に似た感じの映画かな。でもあちらのほうがスッキリしたか。でも私にとっては興味深いものだった。
自分がJimmyだったらあの結末で救われるんだろうか?
恐らく、同様の事件はまたいつか現れる。その時にはもう、今回のことは「過去の事」と思えてるんだろうか?
Joeはあの結末に対して、晴れやかな表情になってた気がするのだけれど? Joeは何か腑に落ちた感じ…というか、救われた感じに映った。「俺だけじゃないんだ」みたいな。
Little things – ささいなことが事件の手がかりになるが、そのささいなことが命取りになることもあるのだ。行動や先入観…犯罪を捜査する刑事なら、余計にそのささいなことが重くのしかかる。真面目に取り組めば取り組むほど、自分を苦しめることになることも多いんだろう…何せ、人の命がかかっているんだから。
でも刑事でなくても、「ささいなこと」が先入観によって異なる結果をもたらすことって、よくあることだと思う。先入観に惑わされない感覚を持っていたいな。
さて、この映画の主要登場人物をデンゼル・ワシントン、ラミ・マレックとジャレッド・レトの3人が演じてるんだけれど、デンゼルの刑事役の安定感というか。年を重ねるごとに自然な重厚感がでてきたよね。ラミは正直、一癖ある雰囲気で役者として損してるところはあるかと思う。私は「ナイト・ミュージアム / エジプト王の秘密(2014年)」のエジプト国王役も好きだけれど、正直テロ犯とか鋭い犯罪者役が似合う。今回の刑事の役どころも、もうちょっと精鋭さがでていたら、もっと面白味が増した気もする。
ジャレッド・レトが、狂気的な容疑者の役どころピッタリに演じていて、映画を盛り上げていると思う。
ジョン・リー・ハンコック監督は、クリント・イーストウッドが監督した「A Perfect World / パーフェクト・ワールド(1993年)」では脚本を手掛け、実話ものでは、サンドラ・ブロック主演の「The Blind Side / しあわせの隠れ場所(2009年)」の脚本と監督、マクドナルドの始まりを描いた「The Founder / ザ・ファウンダー(2017年)」の監督をした。どれも面白い映画だったな。
この映画、殆どの人が「モヤっとする」とか、「思った方向に映画が進まなかった」とか面白味を感じない映画だとは思う。私にとっては、個々の人間にスポットを当て観てみると(もうちょっと描いてほしいところはあるけれど)、興味深く考えさせられる面白い映画でしたね。
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