ヒューイ・ニュートンとボビー・シールによって結成された黒人民族主義と黒人解放を掲げた政治組織、ブラックパンサー党(Black Panther Party for Self-Defense)の活動を描いた、マリオ・ヴァン・ピーブルス監督作品の映画「PANTHER 邦題: パンサー」。
舞台は1967年、公民権運動の盛んだった時代のオークランド。キング牧師やマルコムXの実際の演説やデモから始まる。
Director: Mario Van Peebles
Starring: Marcus Chong, Kadeem Hardison, Courtny B. Vance, Bokeem Woodbine, Joe Don Baker, Chris Rock, Angela Bassett, Bobby Brown…
60年代~70年代は、Blackにとって激動の時代だったのは歴史をみればわかるけれど、この映画では、現実にあった警察による黒人達への虐待とかも見れて、興味深い。
映画でも描かれている警察の暴行は少しオーバーなものかもしれないけども、この映画の冒頭に流れる当時の実際の映像のように、無抵抗な黒人達のデモの群衆に消火用の水をかけまくるってくらい残忍だったのは事実。
そんな状態でキング牧師が提唱した「非暴力」では、もはや立ち向かっていけなかったのは当然かもしれない。でもHueyは「武装」だけじゃなく「知識」もあわせ持った人だったから、白人の様々な迫害に立ち向かい、黒人達の尊敬や信仰を勝ち取っていけたんだろう。
「ignorance(無知)」と「immoral(不道徳)」は、黒人の敵であるだけじゃなく人の敵であると思う。いくらかっこよく銃を構えても、法の前には何も動かすことができないわけで。教養も人を強くする。
この映画でも、デモの中でみんなが「We Shall Not Be Moved」を歌っている。現代のアメリカの黒人達はこの時代の黒人達にあった何かを失いかけてる人たちが多いような気がするのは私だけだろうか。
サウンドトラックも良い。「Freedom (The Black Bag Mix)」は、もともとはR&B女性シンガーのJoiの曲で(アルバムは「自分らしく生きることの喜びと強さ – The Pendulum Vibe」参照。)、この映画公開時期を代表する女性アーティストの力強いコラボレーションが堪能できます。Dallas’ Dirty Half Dozen Mixの方は、女性hiphopアーティストでのラップバージョン。パワフルで素敵。女性アーティストがここまで勢揃いで制作される曲は、これ以降もないんじゃないでしょうか。
Power to the People!