ヒップホップ聴かない人は、映画「ワイルド・スピード(Fast & Furious)」シリーズで知ってる人も多いと思うリュダクリス(Ludacris)。彼が2006年にリリースしたアルバム「Release Therapy」からの3枚目シングル、「Runaway Love」。
聴き取りやすく、物語を読むようにストレートに入ってくるリュダクリスのフロウと、ほとんど「Runaway Love~」とか「Runaway~」としか歌ってないのに家出してきた彼女たちに寄り添うように響くメアリー・J・ブライジ(Mary J. Blige)のコーラスが、何とも心に刺さる曲なんよね~。
「In A Perfect World…」のKeri Hilsonもソングライティングとバックコーラスに参加してるんやってね。
3ヴァース目の「エリカ」を「Akeelah and the Bee(邦題:ドリームズ・カム・トゥルー)」の頃のキキ・パーマー(Keke Palmer)が演じてるのが胸熱。
そいや、KekeってTLCを描いたTV映画「CrazySexyCool: The TLC Story」でChilli役してたよな
3人の女の子のエピソードで成り立ってる曲なんやけど、想像するだけで重い。とはいえ、今では日本でもこういった光景って、割と近くで起こってたりしそうな気もするよな。
無職の男が、働きに出てる内縁の妻の連れ子を虐待とか…そしてたいてい、その内縁の妻も同じように母親の男に虐待されてきた…とか。不思議なことに、好みが似るのか、どうしても同じような男ばかりと連れ添っているという。
Runaway Love – lyrics
Written by Ludacris
関西弁意訳:NAOKO
Runaway love1, runaway love
Runaway love, runaway loveNow little Lisa’s only 9 years old
She’s tryin to figure out why the world is so cold
Why she’s all alone and they never met her family
Momma’s always gone and she never met her daddyリサはまだ9歳
なんで世の中はこんな冷たいんやろ?って思ってる
なんでいつも独りぼっちなん?家族もおらんみたいやし
ママはいつもどっかいってるし
パパには会ったこともないねんPart of her is missin and nobody’ll listen
Momma’s on drugs gettin high up in the kitchen
Bringin home men at different hours of the night
Startin with some laughs, usually endin in a fight自分をなくしてまいそうやのに誰も聞いてくれへん
ママはヤク中でキッチンでハイになってる
夜な夜な違うオトコを連れ込んでは
笑いだしたか思ったら、結局いつもケンカで終わりSneakin in her room when her momma’s knocked out
Tryin to have his way and little Lisa says ouch2
She tries to resist but then all he does is beat her
Tries to tell her mom but her momma don’t believe herあの子のママが完全にイってしもてるときに
ママの男があの子の部屋に入ってくるねん
そいつの思うがままになって、リサは「痛っ」って…
リサは抵抗するんやけど、そいつはリサを痛めつけるだけ
ママにそのこと話しても全然信じてもらわれへんしなLisa’s stuck up in a world on her own
Forced to think that hell is a place called home
Nothin else to do but get some clothes and pack
She says she’s ‘bout to run away and never come backリサは行き詰ってもうて
地獄ってここ(家)のことやとしか思われへんようになって
鞄に着替え詰め込むしかなくって
二度と戻るか!って家から出てきたんやってRunaway love, runaway love
Runaway love, runaway loveLittle Nicole is only 10 years old
She’s steady tryin to figure why the world is so cold
Why she’s not pretty and nobody seems to like her
Alcoholic stepdad always wanna strike herニコールはまだ10歳
なんで世の中ってこんな冷たいんやろ?とずっと思ってる
なんで自分ってかわいくなくって誰にも好かれへんねんやろって
ママの男がアル中で、いつもあの子をどつくねんて
Yells and abuses, leaves her with some bruises
Teachers ask questions, she’s makin up excuses3
Bleedin on the inside, cryin on the out
It’s only one girl really knows what she’s about怒鳴られたりどついたりされて傷跡だけが残ってて
先生らも聞くんやけどあの子ははぐらかすねん
中では血を流して外では泣いて…
あの子をわかってくれるんはたった一人Her name is little Stacy and they become friends
Promise that they’ll always be tight ‘til the end
Until one day lil’ Stacy gets shot
A drive-by bullet went stray up on her blockその子の名前はステイシー
二人は友達になって
ずっといっつも一緒やでって約束してた
ドライブ・バイの流れ弾で
ステイシーが撃たれてしまうまではなNow Nicole’s stuck up in a world on her own
Forced to think that hell is a place called home
Nothin else to do but get her clothes and pack
She says she’s ‘bout to run away and never come backニコールは行き詰ってもうて
地獄ってここ(家)のことやとしか思われへんようになって
鞄に着替え詰め込むしかなくって
二度と戻るか!って家から出てきたんやってRunaway love, runaway love
Runaway love, runaway loveLittle Erica is eleven years old
She’s steady tryin to figure why the world is so cold
So she pops X4 to get rid of all the pain
Plus she’s havin sex with her boy who’s sixteenエリカは11歳
なんで世の中ってこんな冷たいんやろ?とずっと思ってる
苦しみから解放されたいからエクスタシーを飲んで
16歳の彼氏とセックスしてるねんEmotions run deep as she thinks she’s in love
So there’s no protection, he’s usin no glove
Never thinkin ‘bout the consequences of her actions
Livin for today and not tomorrow’s satisfaction好きやいう感情でいっぱいになって
ゴムつけへんとやってしまうねん
そんなことしたらどうなるかなんか考えもせんと
明日の幸せ考えるよりその日暮らしで生きてるねんThe days go by and her belly gets big
The father bails out, he ain’t ready for a kid
Knowin her momma would blow it all out of proportion
Plus she lives poor so no money for abortion日に日にあの子のおなかが大きくなっていったら
父親になる準備なんかできてへん彼氏は逃げ出すわな
あの子のママは騒ぎ立てるんやろし
中絶するにもお金あらへんねんもんなErica is stuck up in a world on her own
Forced to think that hell is a place called home
Nothin else to do but get her clothes and pack
She says she ‘bout to run away and never come backエリカは行き詰ってもうて
地獄ってここ(家)のことやとしか思われへんようになって
鞄に着替え詰め込むしかなくって
二度と戻るか!って家から出てきたんやってRunaway, runaway love
Don’t keep runnin’ away
Runaway, runaway, runaway, runaway
Runnin’, runnin’, runnin’, runnin’
Don’t keep runnin’, runnin’ away
Don’t, don’t keep runnin’, runnin’ away
I know how you feel, I’ve been there
I was runnin’ away too家出少女たち
ずっと逃げてんでもええねんで
家を出て、
逃げて、逃げ切って
でもずっと逃げてんでもええねんで
あんたの気持ち、わかるわ
だって、あたしも同じ目にあって
ずっと家出て逃げてたんやもんI will run away with you
I will run away with you一緒にここから出て行こう
あんたと一緒にいくからRunaway, runaway love
Don’t keep runnin’ away
I’ll run away with you if you want me to家出少女たち
ずっと逃げてんでもええねんで
あんたが望むんやったら
あたしも一緒にここから出ていくからYeah, I can only imagine what you goin through ladies
Sometimes I feel like runnin away myself
So do me a favor right now and close your eyes
And picture us runnin away together
When we come back everything gonna be okayOpen your eyes
あんたらがこれまで受けてきた仕打ちを
俺は想像することしかでけへんけど
俺自身もたまに逃げたくなることあるもん
せやから今、目を閉じてみて
一緒に逃げてるん想像してみて
目を開けた時には大丈夫になってるからさぁ、目を開けて
注釈
- runaway love:家出少女たちに向けての呼びかけととらえたんやけど、英語のこういった表現ってなかなか訳しにくいよな ↩︎
- Tryin to have his way and little Lisa says ouch:おそらくリサはママの男に強姦されて「痛っ」ていうたんやろう ↩︎
- Teachers ask questions, she’s makin up excuses:学校で傷跡を見た先生が気になって尋ねても、「自分でコケてん」とかいうてるんやろうね ↩︎
- X:MDMA、俗にいう「エクスタシー」のことでしょうな ↩︎
連鎖を断ち切る、助けを呼ぶ…ってのは、たやすいことやない
今では大阪の「グリ下」には、こういった子達が集まっては消えていってるんやろうか… もう朝型になって、夜にミナミうろつくこともなくなったから、「グリ下」に行って見たこともないけども。
何故か人間って、「類は友を呼ぶ」のように自分に似た種類の人と一緒におるほうが楽みたいよね。特に今の子達は、SNSの中で、自分が興味あるものだけに囲まれることが容易くて、逆に様々な種類の人や環境に触れる機会がなくて、自分の視野を広げていくのが難しくなってるんかもね。
大人も子どもに対して「腫れものに触る」ような対応しかできへんかったりするし… よその子に話しかけるのって、すごく気が引けるもん。今の世の中、理由も聞かず、印象だけで悪いほうに捉えられることが多いしな。
もしこの「Runaway Love」に描かれてる子がいたとして、その子たちに手を指し伸ばすっていう機会が絶たれてる感がある。だから、子ども達自身に「逃げて、誰かに助けを求めて!」といいたい。いじめにしてもそう。その狭い世界から抜け出して、誰かを頼ってほしい。
連鎖を解くのは、自分の第一歩。
そうすれば、LudacrisやMary J. Bligeが歌うように、逃げて、逃げ切って…すごくパワーがいることでしんどい、ツライことやけど、そうすることで逃げてばかりいないで生きていける場所に辿り着くことができると思うねん。
アルバム「Release Therapy」
「Release Therapy」は、Ludacrisの6枚目(1枚目の自主制作除けば5枚目)のアルバム。
今までのアルバムとは違って、コンシャスな曲も多くなった。アルバムジャケットも、今までと雰囲気ちゃうもんな。今までのダーティ・サウス感やコミカルなテイストのLudaが好きだった人には物足りへんかもしれんなぁ。
とはいえ、2007年のグラミーのベスト・ラップ・アワードを受賞したアルバムでもあります。
- Warning (Intro)
- Grew Up A Screw Up featuring Young Jeezy
コンピレーション・アルバム「One Million Strong」に入ってる、Notorious B.I.G. aka Biggieと2Pacの「Runnin’ from tha Police」のBiggieのパートをサンプリング。Young Jeezyと敵対してるいう噂もあったけども。 - Money Maker featuring Pharrell
シングル・カットされた曲のひとつ。 - Girls Gone Wild
妖しい疾走感のあるNeptuneなサウンドに、俺はすごいぞ、ワイルドになるオンナの子はおらんか~言うてる曲。 - Ultimate Satisfaction featuring Field Mob
- Mouths To Feed
食わせていかなあかんねん~めっちゃ働くで~言うてる曲。 - End Of The Night featuring Bobby Valentino
- Woozy featuring R. Kelly
- Tell It Like It Is
- War With God
「ドラッグの売人や~とか銃をぶっ放した~とかばっかり歌ってるけどうだつの上がらんラッパー」…と、T.I.に向けて歌ってるといわれております。 - Do Your Time featuring Beanie Sigel, Pimp C & C-Murder
- Slap
- Runaway Love featuring Mary J. Blige
- Freedom Of Preach featuring Bishop Eddie Long
ゴスペル・ラップな、
「One Million Strong」は1995年10月16日にワシントンDCで行われたMillion Man Marchを記念して発売されたコンピレーション・アルバムやねん~
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