ボブ・ディランの歌(この曲の歌詞でどういった事件で罪に問われていたのか、大筋わかる)にも歌われている、冤罪で20年ものあいだ牢獄へ入れられていた黒人ボクサー、Rubin “Hurricane” Carter。彼の物語を描いたのが、1999年公開の映画 「The Hurricane(邦題:ザ・ハリケーン)」
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Based on true storyではあるものの、脚色は濃いらしい。wikiやimdbによると、いかにも「優等生」っぽくクールに軍から戻ってきたように描かれているけど、実は軍から除隊されて戻ってきたとか、Della Pesca刑事のような人物の存在はなかったとか。最高裁の判決までに、刑務所から釈放されていた時期があったとか。自伝と第三者が書いた両方の書物を読み比べると違いがわかるかも。
監督:Norman Jewison
原作:Rubin ‘Hurricane’ Carter, Sam Chaiton..
出演:Denzel Washington, Vicellous Reon Shannon, Deborah Kara Unger, Liev Schreiber, John Hannah…
すべてが彼自身に本当に起こったわけではないということを前提に観なきゃならない・・・が、そう描かせている背景がこの頃にはあったんだろう(私としてはできれば忠実に描いたものが観たいけど)。フィクションだと思って観ても、いい映画だと思う。シンプルでチープ感のある映像であることは否めないけど、それが余計に現実的に感じられるのかもしれない。色々考えさせられるものがある。自分の今の当たり前の生活が、どれほどありがたいものなのかと思うと、涙が止まらなかったりする。
ハリケーンの自伝をたまたま手にとって買った黒人の少年と、ボランティアでその少年と出会い少年の力になるため彼を引き取った3人のカナディアン。黒人少年が自伝に感銘を受けてハリケーンに手紙を出したことでハリケーンと繋がり、最後ハリケーンが最高裁で無実を勝ち取り、それ以降も「良き友」であり続けた。
彼らのやりとりや彼らの行動は、実に欲のないもので、「本当に自然でピュアでニュートラルな気持ちってこういうものなんだろうなぁ」なんて思えた。「相手を喜ばせたい」とか「相手に喜ばれるから」と人に対して接する気持ちって、彼らを観てると、そういう気持ちって単なるエゴかもな~とさえ感じる。「喜ばせたい…って、あんた何様よ?」っていう。もっと辛辣にいえば、「自分勝手極まりない」ことなのかも。本当の優しさや思いやりって、自分の気持ちを素直に表現できるというだけで十分足りていて、そのまま相手に伝わると思う。
後ね、ハリケーンの言葉にもあるけれど「自分で自分に合う本を見つける」って大切なことだと思う。小説やフィクションものは別だとして。「本を読む=知識が増える=賢くなる」と思えない私にとって、ハリケーンの言葉って重みがあった。何でも読んだらいいってわけじゃないと思うもん。指南本や自身向上のための本って「みんなが読んでるから」とか「誰かに勧められたから」とかで読めばいいものでもないと思うし、誰彼にも勧めるものでもない。
言葉で表現することができない、意味もないhatredとbrutality。「色が黒いから」というだけで差別や隔離を受けてきた彼らの辛さは経験できるものでもない。だからといって彼らを気の毒に思うのもどうかと思うから、せめて彼らに起こった「現実」を知っておきたい。そんな私の「黒人文化や歴史へ抱いた思い」の根源を再確認させてくれる映画です。
映画の中で使われている音楽といえば、ボブ・ディランの「Hurricane」(アルバム「Desire」)だけでなく、Gil Scott-Hersonの「Revolution will not be televised」(アルバム「Pieces of a Man」)が印象に残る。彼のスタイル、酔わせるね。
ハリケーンを演じたデンゼル・ワシントン、かなり体重絞って挑んだんでしょうか?1年間、ボクシングのトレーニングしたらしいですね。
デンゼルとスポーツといえば、バスケやってる「HE GOT GAME」もあるわな
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