AGAINST THE WALL ウォール オブ アッティカ (1994TV)
director: John Frankenheimer
starring: Kyle Maclachlan, Samuel L. Jackson, Clarence Williams, Frederic Forrest, Philip Bosco, Tom Bower
冒頭に60年代~70年代の出来事が写される。Malcolm X, Martin Luther King, Nixon, Kennedy, Vietnam War, Beatnik・・・きっとこの映像をみてみんな感じることは個々に色々あるように、人間個人の背景(background)も様々なわけだ。それは人種という区別だけじゃなくって、社会的地位、職場、友人関係、家庭環境、すべてにおいて、みんな違いがある。でもその違いを分かり合いながら、共同生活を営まなきゃいけないばしょってのは結構多い。
この映画の舞台となる刑務所もその一つだろう。刑務所にはもちろん、犯罪者が集まっている。彼らを正すための場所であるから、規律は厳しくて当たり前。そういう場所だからこそ、「差別」があってはいけないはず。必要以上に囚人を懲らしめる必要もないし(その境目が難しいのは確かなことだけど)、人間として生活は保障されるべきではあるとは思う。彼らの環境が「悪事を働いた人間」に変化を与えうるだろうから。
この映画も「187」みたいに、救いのない映画である。Samuel J. Jacksonは、こういう風な映画にでるのが好きなのだろうか。Kyleは典型的な”Freedom!”を叫ぶヴェトナム戦争前後の若者。ところどころでそれを示す鍵が描かれている。この若者の行動が「自由をはき違えてはいけない!」っていってるよう。
集団でいる時こそ「自由」とは何かを考えて行動すべきじゃないだろうか。個人・個性を多少押し殺して「団結」してこそ、「自由」を勝ち取る早道となることは多いんだから。
さて、社会に目を向けると、いくら自由なアメリカでも、思考がコントロールされているように感じることがある。例えば大統領の振るまい方。演説での指の差し方まで、どういうほうが一般にいい印象を与えることができるか、どのネクタイがこの場にふさわしくて、それが一般人にどういう影響を与えるか・・・を側近が決めてたりするらしいから。日本より政治家の汚いお金が暗黙の了解でまわってたりするし。ここで描かれる州知事はどうか?
この映画もアッティカ刑務所で起こった事件をもとにしてる実話モノらしいけれど、何か悲しくなる。
でも中庭でいろんな人種の囚人が団結してるのを見ると、「そうだ!そうだ!」と拳をあげたくなるよね。