1968年、片足切断2年後に黒人初のマスター・ダイバーになったCarl Brashearの実話を元にしたストーリー、2000年公開の映画「Men of Honor(邦題:ザ・ダイバー)」 。
Carlはマスター・ダイバーになった後、9年間も現役を続けた…と最後に書いてあった。主にCarlの成長過程を、彼の恩師であるBilly Sundayとのやりとりと共に描いてあります。
監督: George Tillman Jr.
出演: Robert DeNiro, Cuba Gooding Jr., Charlize Theron, Aunjanue Ellis, Hal Holbrook, Michael Rapaport
キューバ・グッディング・ジュニア演じるCarlが黒人だということを省いて考えても、このCarl Brashearって人は、人間として強い信念の持ち主だったんだろう。黒人でなかったら起こり得ない仕打ちを受けたこともあるけれど、足を切断せざるをえなかったんだから。それでも彼は、夢を追い求めてトレーニングする。
彼にとって、自分が黒人だってことは、もはやちっぽけな問題になってるんだろう。誰しも問題に直面したとき、環境や時間のせいにしちゃうってことがある。「自分は一生懸命頑張ってるのに・・・」なんて、愚痴いったりする。Carlの行動を見ていると、そういうことが馬鹿らしく思えてくる。
この映画は「やってやろうじゃないか!」と強気にさせてくれる映画です。今、精神的に弱くなってる人に見てほしい。夢をアツく追っかけてる人に。反対に、アツくなれない人間にとっては、このCarlの偉業は「特別な人」化しすぎて面白くないのかもしれない。
きっとこの映画が実話を元にしたものでなかったら、しつこいぐらいアツく、現実味のない話に終わってるんだと思う。「映画の世界だもんな」って。 しかも、あのキューバが演じてるとなると、アツすぎてかえってコメディのように思えるところもあるだろう(笑)。
どうしても「JERRY MAGUIRE(邦題:エージェント)」のあのアツくおもろい役柄がね!
しかし、キューバもデ・ニーロもすごくアツく演じてますよ。デ・ニーロがBillyの役しているんだけれど、この「おやじ」(Billy)も実在してたわけで。Billyもまた頑固で、ダイバーひと筋に生きている。プライドの固まりで。描かれていない、Billyの一生も気になるところ。きっと、Billyは白人至上主義者でないよ。彼は根っからの「誇り高きマスター・ダイバー」なんだ。黒幕の存在があったから、Carlに執拗にイジメのような行動をとっていたんだろうし。黒幕に背いたら、「マスター・ダイバー」じゃいられないのだから。
それと、based on true storyモノというのは、人の一生を2時間くらいにまとめているのだから、ストーリーは端折られることは多いだろう。だからといって、私は、「省いているから駄作」ではないと思うのね。詳しく描くほど、長い映画になるってのも面白いものじゃない。全てを入れ込んでしまおうとして説明くさくなってダレた映画になると、見る側の感じ方も違ってくるかもしれない。見る側にある程度、映画の背景がわかっていると、より面白く感じられるものだ。
この映画では「世間の、当時の黒人への差別感」はあまり描かれていないけれど、それを説明くさく描くのはこの映画に相応しくないと私は思う。彼が黒人であると絞って描く必要はない。黒人の枠を超えて、Carlという「人間」の強さを全面に出した映画でいい。
だからこそ「Men of Honer」なのよ。「人種差別」に焦点をあてないで、登場人物と「人間たち」の熱いストーリーをじっくり味わってほしい映画。
シャーリーズ・セロンは色っぽい役もハマるよね。シャーリーズ・セロンが演じたBillyの妻もだけれど、あの「HIGHER LEARNING(邦題 : ハイヤー・ラーニング 1995年公開)」でサイコ役を演じたMichael Rapaportが演じた白人も、劇中、Carlを「黒人扱い」しなかった。
シャーリーズ・セロンといえば、「モンスター」での迫真の演技もよいけど、「Young Adult」ではイタすぎ女子を見事に演じてておもしろかった!
監督は、Notorious B.I.G.の伝記的映画の「Notorious(邦題: ノトーリアス B.I.G. 2009年公開)」や、黒人家族を描いた映画「Soul Food(1997年公開)」のGeorge Tillman Jr.
コメント