1960年代を背景に、18歳の時にガソリンスタンドで70ドルを恐喝強盗した罪で「1年~終身刑」を言い渡されたジョージ・ジャクソン(George Jackson)を描いた実話ベースの映画「Black August(邦題: 獄中からの手紙)」。
そのJacksonが服役していたサン・クエンティン州立刑務所(San Quentin State Prison)でブラック・ゲリラ・ファミリー(Black Guerrilla Family)を創立した頃から本の出版を提案され実行し、その生涯を終えるまでを描いている映画です。

監督:Samm Styles
出演:Gary Dourdan, Darren Bridgett, Ezra Stanley, Tina Marie Murray…
たぶん予算も少ない中の製作だったんやろなぁ、正直、大雑把でぶつ切りな作り。もうちょっと詳細まで描たものがみたいなぁと物足りなさを感じる。弁護士はその後どうなったんや? 出版社の彼の提案に反発するものの、その後の距離の縮まり方はちょっと現実味がないかな。
あと、彼は独房で葛藤してたに違いないし、弟の「出来事」はかなりショッキングだったに違いないんやけど、もうちょっと描いてもらわんと、Georgeの苦悩が伝わりにくいかな。かといって、フィクションが過ぎても嘘になってまうし。結局は、この映画で描かれているくらいが淡々としてていいんかもしれん。彼が刑務所で受けていた不当な扱いについては、随所に出てくる。

時代は違えど同じサン・クエンティン州立刑務所で生きたスタンレー・トゥーキー・ウィリアムス(Stanley Tookie Williams)の映画「Redemption: The Stan Tookie Williams Story (2004 TV)」の方が、リアリティを感じやすくて観やすい映画やな。
ブラック・パンサー党(Black Panther Party)やSNCC(Student Nonviolent Coordinating Committee)などで活動していたアンジェラ・デイヴィス(Angela Davis)も出てきますね。Angelaは本当にカリスマ性のある活動家やったんやろね。彼女については、長くなるので、また別の場所で。
この映画の最後で、過去に看守を殺したという容疑に対する裁判を3日後に控えた1971年8月21日に、自らだけでなく他の囚人を引率して脱獄を計ろうとしたところを銃で撃たれて死んだ…と描かれている。
でも、ある証言では「彼は脱獄したのでもなく、それを引率してもいなく、武器さえも持っていなかった」とされていたりもするそう。また、映画ではピストルは「アフロのウィッグ(かつら)」に忍ばせてこっそり持ち込まれたと言われてたように思うけど、実際は「テープレコーダーだった」とか。
ともかく、彼や彼の弟達は、自分だけのためでなく自分を含める黒人の仲間達のために戦った。彼らの死は今も語り継がれ、彼らの思いと共に戦い続けてる。
George Jacksonの著書
Angela Davisの著書
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