インターネットに繋がっていることが当たり前な現代。SNSなどで様々な情報を簡単に受信・発信できるようになり、本当に便利になった。もう、私が学生だったらやりたいこといっぱいある。
けれど、情報が溢れている割には、同じようなモノばかりが流れてくる。「私も、私も」とまるでそれを知らないとオカシイくらいに。まぁ、私みたいなオバサンはTik Tokなんかの刹那な流行には興味がないんだけれど、「私が若者だったらこれをどう見てるんだろう」と思うことはある。なんだか息苦しくないんやろか…って。
私が学生だった80年代後半~90年代半ばまでを振り返ると、情報を得るだけでも時間とお金、体力まで(足運ばなきゃならないからね)必要なことも多かったもんなぁ。諦めなきゃならないことも、妥協しなきゃならないことも当たり前に多かったんだけれど、苦労しただけ達成感があったりするから思うようにいかなくても楽しかったりしたもんだ。
あの頃は、今ほど多様性はなかったかもしれないけれど、今よりも自由だったかもしれない。今は、多様性まで強要される…そんな息苦しさがある。かえって同調圧力を感じるというか。結論を急がずに「わ、私まだそれ受け入れられないわ」って感覚もアリだと思うんだけど、それを言えない風潮。民主主義!といいながらポピュリズムに引っ張られてる感覚とか。その輪の中に入っていないとおかしいんじゃないか?と錯覚を起こさせる。多様な情報があるようで、どの情報にリーチできるかは自分次第、ってことは割と盲点。
そんな現代の生きづらさや同調圧力を感じている若者に、是非聞いてほしいのがこのスチャダラパーの3枚目のアルバム、1993年発売の「WILD FANCY ALLIANCE」。今でもほとんど日本語ラップは聴かない中、このアルバムと彼らのセカンド・アルバムの「タワーリングナンセンス」は聴いていた。が、ダントツこの「WILD FANCY ALLIANCE」が好き。
日本人にとってのヒップホップは、これだと思う。日本人のリアリティ。平凡な日常の出来事の中に、クスっと笑える「オモロ」を放り込んでくる。ただ面白いだけはなく、世の中への皮肉や当たり前の日常の中の異常(?)や、発想の転換なんかも入ってたりして。
WILD FANCY ALLIANCE / スチャダラパー (1993年)
- プロロローグ
SHINCOの怒涛のミックス。 - ヒマの過ごし方
「ヒマ」であることは悪いのか?…って私もほんま、そう思う。各々それぞれ、時間の使い方や時間に対する思いって違っていて当たり前。悠々とした時間があったからこそ、生活の知恵や文化が発展してきたんだろう。 - クラッカーMC’S
「あたり前田のクラッカー」(1970年代生まれくらいまでかな?知ってるの)からきてるタイトルだとか?春夏秋冬を巡る「あたりまえ」がテーマ。「社会に反逆、俺は歌うテロリスト~唸れ、POSSE!」ていうの、いわゆるヒップホップ的な語彙で叫ぶところが、何だか皮肉。鏡のくだりとか、55小節目前まで戻らせるとか、オモロ満載。 - PROTECT HIM (from what he wants)
物欲にまみれたヤツの話だけど、そんなヤツがこないだ渋谷で募金してたんだ。 - Kick it, JAWS
これもタイトル通り、「きっきじょーず(聞き上手)」のお話。フェードイン・フェードアウトを使ってるとこって、話聞こえてこない状況の表現やんな、コレ。上手いこと表現してるわぁ。ま、大阪文化やとそんなダラダラ話すやつにゃ、すぐ突っ込み入るけどね。 - トリオ・ザ・キャップス改
「正解は僕が裸でご来店でした!」…うちの旦那は気付かないタイプだな。 - 後者 – THE LATTER –
もう、タイトルの「The Latter」ってだけで私はもう笑えて。この曲の中の「後者」って絶対楽しいけれど、「竹を割るような生活」は私は無理だ!よくもまぁ、ここまで前者と後者を描けるわね。 - ついてる男
前曲「後者」から続く流れ。物事って自分自身の捉え方次第なのかな、と勇気づけてくれる曲。笑 「後者」もそうだけど、ANIのオトボケ・フロウがまた良いのよ。 - WILD FANCY SAMPLER
爽快感のあるJAZZに乗せて。ユンピョウ、ジャッキー・チェン、サモハン世代なので、かの有名な「鷹」とかけてる「ツーフィンガー鷹」はツボ。 - そ・れ・ば・な
BOSEとANIの掛け合いがもう自然過ぎて、日常会話。会話ってこうやって広がるよね、「言えてるぅ」。 - Little Bird Strut
超楽しい、party jammin tune!色んな面子が参加してケンカしてない。よ~できてんな~って本当に関心する! - 彼方からの手紙
桃源郷のような場所にいて、「あ~、アイツも来てればなぁ」って…ドラッグソングって言われることもあるようですが、私はすごく小学生の頃を思い出した曲。川の源流や河口まで行こうとか、草がいっぱい生えてるところに基地みたいなの作ったりして遊んでた頃の事が頭に浮かぶ。小学生の頃、「にんげん」って本あったよね。
BOSEのクリアなラップをベースに、ANIのオトボケなヴァースを淡々と語るところも、聴くたびにリリックが入ってきてツボにはまっていきます。また、SHINCOのDJの手腕が光ってるから、リリックが生きるんだと思う。
このアルバムを聴き終わったら、きっと明日も楽しく生きられると思う。自分は自分のままでいいと思えるはずです!
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