映画「GLORY ROAD(邦題:グローリー・ロード)」 人種の壁を破る白人コーチと黒人バスケチームの成長を描く、実話モノ

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2006年公開、「ANTWONE FISHER」のデレク・ルークが出演している「Glory Road(邦題:グローリー・ロード)」。

1960年代、アメリカでは人種差別がまだ根強く、大学バスケットリーグでは白人選手がメインとされ、黒人選手でチームを構成するなどタブーとされていた時代。

テキサス・ウエスタン大学(のちにテキサス大エルパソ校に改名)バスケット部のコーチとして、限りある資金と環境の中で「勝つために」人種の壁を打ち破り、苦難に苛まれながらも、チームを勝利へ導いていくドン・ハスキンズとそのチームの成長を描いた、実話を元にした映画です。

Glory Road 邦題:グローリー・ロード (2006)

監督:James Gartner
プロデューサー:Jerry Brucker
脚本:Chris Cleveland, Bettina Gilois
出演:Josh Lucas, Derek Luke, Austin Nichols, Jon Voight, Tatyana Ali, Mehcad Brooks, Evan Jones, Alphonso McAuley..

ディズニー映画らしく、時には微笑ましいシーンも入れながら、子供も観やすいようにわかりやすいサクセスストーリーとして描かれてます。遠征先で白人からのヤジや虐待を受けた様子も、映画の尺や対象他、様々な制約を考えると、あれくらいでちょうどいいのかも。

この映画のような「白人に先導された黒人の活躍」といった描かれ方に疑問を持つ人も少なかからずいるようだけど、私はそうは思わない。私は、奴隷としてアメリカへ連れてこられてからこれまで虐げられてきた黒人は、黒人「だけ」の力では自由を勝ち取れなかったと思っている。閉ざされてきた環境の中で、彼ら黒人は「人間にはどういう道があるか」を知ることすら容易でなかっただろう…と思うから。実際にハスキンズコーチは、低予算でのスカウトだからといえど、「勝つために」と7人の黒人を選んできたのだ。「勝てる」と思わせる能力が、彼らにはあったのだから。

この映画はDVDで観たのだけれど、ドン・ハスキンズ自身やチームメンバー本人達のインタビュー特典の中で「本当に大変だったのは、あの試合で勝った後だった。白人から”ニガー”や”クーン”と言って軽蔑されるよりも、同じ黒人に”おまえらはUncle Tom(白人に媚び諂う黒人)だ!”と言われるのが、悔しくてしょうがなかった。」というようなことを言っていた。

そして同じくハスキンズコーチ自身も、「これ以上、ニガーに入れ込んだら、ただでは済まない」といった白人からの脅しと戦っていたわけで。

The Help(邦題:ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜 2011年公開)」などでも描かれているように、黒人にも我々と同じ道を開くことができるはず・・と立ち上がる白人の行動は、それと一緒に立ち向かう黒人と共にあるわけで。彼ら自身は、「どちらが先導してる」なんてどうでもいいことだと思う。共に目的を果たせられれば、道は開かれるはず・・・と思ってるんじゃないかな。

ハスキンズ役のジョシュ・ルーカスはこの役のために体重を増やしたらしい・・・それでも”The Bear”と言われていたハスキンズ氏より小さいようだけど、眼光の鋭さがよかった。デレク・ルークは頑張ってますね。ウィル・スミスが押していたシンガーのタチアナ・アリちゃんが出てました。

チームの写真を見ると、なかなか似てる人選していたんじゃないでしょうか。白人の眼鏡の子とか、いい味でした。1966年NCAA決勝での、ケンタッキー大コーチにはジョン・ヴォイト。

カメオでハスキンズ氏自身が、ガソリンスタンドのおじちゃんを演ってます。エンドロールでは実際の選手のプレーやインタビューシーンが。

ドン・ハスキンズはその後もテキサス・ウエスタン大学〜テキサス大学エルパソ校でコーチを続け、1997年にバスケットボールの殿堂入りを果たしたそう。また、映画で描かれた1966年のテキサス・ウエスタン大学チーム自体も、2007年9月7日に殿堂入りを果たしたのだけれど、そのちょうど一年後の2008年9月7日にドン・ハスキンズは78歳でこの世を去ったという。

ハスキンズ氏は、この映画で落胆したことがあるという。彼の旧友、ハーマン・カー(黒人)との1on1のシーンがカットされていたところ。また、映画では、試合の応援席に南部国旗…アメリカ連合軍の国旗がはためいていたんだけれど、実際の試合にはそういったことはなかったとか。

サウンドトラック「Glory Road:Original Soundtrack」もなかなか心揺さぶります。マーヴィン・ゲイや、オーティス・レディング、マヘリア・ジャクソン、スティービー・ワンダーなどが。エンドロールでは、アリシア・キーズが。

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