1995年公開、ハーヴェイ・カイテル主演の映画、「SMOKE(邦題:スモーク)」。この映画の元となる原作は、脚本を書いたポール・オースターがニューヨーク・タイムズ紙で書き下ろした短編小説「Auggie Wren’s Christmas Story」。
ブラック・カルチャーを描く映画ではないですが、少しその側面も見れる、NYくさい映画です。しかも町の片隅にあるタバコ屋さんが舞台ってのも、また、NYっぽい。タバコ屋を取り巻き、行き交う人々の些細な出来事が舞台で、見ていると自分もそこの住人になったかのように感じる映画です。出演してる主要人物は少ないけども、民族の多様性まで感じることができます。
監督:Wayne Wang
脚本:Paul Auster
出演:Harvey Keitel, William Hurt, Giancarlo Esposito, Harold Perrineu Jr., Forest Whitaker…
「日常」がベースだけれど、起こることは冷静に考えると「ありそうでないもの」だったりもする。「Smoke」といえば、たいてい「煙」やら「たばこ」が連想されるけれど、それだけしか思いつかなかったら、この映画の面白みの半分は感じられないだろう。
ただのタバコ屋の話ではない。「煙」・・・儚く、もやもやしたもの。英英辞典でsmokeは「Something used to conceal or obscure」との記載がある・・・映画を見てて、それにピンとくる人もいるだろう。
映画はいくつかのエピソードに分かれていて、その中にそれぞれ主人公を置いて描かれる。最後のエピソードではハーヴェイが演じるAuggieのものですが、これまた、ステキでスモーキーなエピソード。
誰しも自分の内に、他人には知れない部分を秘めている。お互いその内なる面を感じてはいるけど知らないフリして、やり過ごすこともあるだろう。本当のところを知るよりも秘めているほうが幸せであったり、「暗黙の了解」だったりすることもあるだろうし。
人間、一人一人、経験も違えば環境も違うし、違う感情を持っている。完璧に分かり合えることなどないけど、まぁいいじゃないか。「ヒトはヒトだし、あれがあいつだから・・・なんて、タバコの煙に巻かれるように、日常が過ぎていくのも、いいじゃない?」そんな風にこの映画は言ってるように感じる。「smoke」の色んな意味を込めて。
よくスパイク・リーの映画に出演しているジャンカルロ・エスポジート、「Ghost Dog」のフォレスト・ウィテカー、「Matrix」にでてたハロルド・ペリノー・ジュニアなどが出てます。
続編といえる「Blue in the Face(邦題:ブルー・イン・ザ・フェイス 1995年公開)」のほうがlightに楽しめるかな? 私にはどちらも、もう何度も見たお気に入りの映画です。
ハーヴェイ・カイテルが出てるブラック・ムービーといえば、これ↓やんか!
コメント